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心霊じゃない怖かった話

20年ほど前になります。 霊柩車会社に勤めていた時に行ったご自宅(集合住宅の一室)であったことです。

名古屋市の中心部にある、大きな集合住宅から大手葬儀社の式場までの移動の依頼で、指定された場所(車が入れるように鉄柱を抜いていただいていた)から、お部屋のある棟の入り口近くに駐車して、目立たないようにストレッチャーを下した後は後部ハッチを閉じてからエレベーターで、5Fのお部屋へと移動。

葬儀社の担当者(40代の中堅さん)と一緒に、お部屋に行くと玄関ドアの前で待っている遺族らしい人がいたのでご挨拶をして、これからの手順などを説明されました。 2分ほどで説明を終えて、私の方へ「同乗者は無しだよ」「追走してくる車も無いから、単独で式場へ 着ける場所は玄関で良いよ」 との事。

誰も同乗しないコトは少ないけれどあることだし、近い葬儀式場だったので一緒に来ないことにしたのだと思いました。

ご遺族らしき人は、表で待っているとのことだったので、担当者と二人でお部屋へ入ると、カーテンが閉め切っているせいで薄暗い感じ。 故人様がいる奥の部屋に向かうとなんだか壁が黒くて模様が書いてあるような変な感じでした。 なんとなく何が書いてあるのか見てみると、壁の三方向全てに 特定の人への恨みが延々と書き綴られていました。 担当者が「これ凄いよね」「昨日、来た時は気持ち悪くてさぁ」 「出来るだけ早く出たいから、さっさと片付けるね」と枕飾り(枕元に飾る机や仏具など)を片付けて、玄関を出たところに置くと、それからストレッチャーへ移動することになりました。

無事に、葬儀式場へと安置して、担当者へ挨拶をすると「実はさぁ、あの壁に書かれていた人は分れた奥さんの事なんだって」「でさ、ご兄弟が葬儀をすることになったんだけど、あんなことが書いてあるから元奥さんは呼ばないで、しようってことになったんだ」「壁の修繕費とか、これからの出費を考えて、家族(兄弟)だけでの葬儀になったんだ」  「あそこまで人を恨むのって怖いよね」

心霊現象などは一切無いのですが、人の心の闇を除いた気分でした。